この記事ではチェンソーマンの早川アキが死の間際にキャッチボールをやりたがっていた理由や雪合戦が嫌いな理由、アキの行動の意味などについて解説します。
アキは作中で「銃の魔人」となってデンジと戦うことになります。
「銃の魔人」としてのアキの攻撃一発一発が死傷者多数出すような破壊力でしたが、アキの中ではデンジに雪玉を投げて遊んでいるつもりでした。
この描写の中でアキが「キャッチボール」と「雪合戦」について言及する場面があるので、その意味などについて詳しく解説します。
<この記事で分かること>
◯アキにとってのキャッチボールの意味
◯アキが「雪合戦」を始めたシーンの振り返り
◯アキが最後にデンジへの攻撃をやめた理由
※この記事はチェンソーマンのネタバレを含みます
チェンソーマンの全キャラクターの一覧についてはこちらの記事にまとめています。
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チェンソーマンのアキにとっての雪合戦やキャッチボールの意味
アキが「銃の魔人」になってデンジと戦い、その最期にアキは
・雪合戦なんて好きじゃない
・キャッチボールがしたいんだった
と独りごちていました。
アキが言う「キャッチボールがしたかった」という言葉の意味とは、
家族と「対話」がしたかった
という気持ちから出た言葉だと思います。
まずはアキとデンジの「雪合戦」という名の殺し合いの描写から見ていきましょう。
チェンソーマンのアキが「銃の魔人」となって「雪合戦」を始める
マキマが「銃の悪魔」と交戦し、その後「銃の悪魔」はアキの体に取り憑くことで「銃の魔人」が生まれました。
「銃の魔人」となったアキには人間の頃の優しさなど皆無で、一般人も巻き込んだ虐殺を始めます。
アキが「銃の悪魔」に取り憑かれて「銃の魔人」へ(9巻の第77話)
漫画9巻の第77話で、「銃の魔人」となったアキがデンジの元に現れました。デンジは目の前にいるのがアキだとは思っておらず、自分の名前を知っていることに違和感を覚えています。
しかしパワーの「玄関したのはアキの匂いじゃ」という言葉に、デンジは信じたくないという気持ちと目の前の現実が交錯しながらもアキとの戦いが始まります。
アキがデンジと「雪合戦」という名の虐殺
アキの心の中は子供の頃に戻り、デンジやパワーと「雪合戦」をして遊んでいるつもりでした。
しかしアキが心のなかで雪玉を投げる度に、現実では超威力の砲弾を撃ち出しています。アキの攻撃一発一発が大量虐殺するレベルの破壊力で、周りの家屋や一般市民も巻き込まれていきました。
デンジはアキの名前を叫びながら止めようとしますが、アキはあくまで心のなかで「雪合戦」で遊んでいるだけで、現実世界のデンジの声が届きません。
アキの心の中での「雪合戦」の描写が何を表しているのかを見ていきましょう。
チェンソーマンのアキはずっと孤独だった
漫画2巻の第13話でアキの少年時代の回想シーンが描かれています。
このシーンはマキマがデンジに「銃の悪魔」が昔起こした大量虐殺について説明していたシーンで、アキの家族も「銃の悪魔」の事件の被害者でした。
アキは幼少時代に両親と感情のすれ違いを起こしていた
回想シーンではアキと弟のタイヨウ、両親の4人家族が描かれています。
弟のタイヨウは体が弱く、いつも両親がつきっきりで面倒を見ていましたが、アキもまだ幼かったために「外でキャッチボールしてよ」とねだっていました。
しかしタイヨウの具合が良くないため、両親はタイヨウを優先していました。アキが「そんなのいつもだろ!」と言っているように、恐らくこういった日々が長く続いていたものと思われます。
この時のアキは両親と対話ができているとは言えず、「キャッチボールがしたい」「自分にも目を向けて欲しい」という一方通行の思いをぶつけています。
アキが家族と死別!孤独を抱えながらデビルハンターに
アキの様子をみたタイヨウは「お兄ちゃんと遊びたい」と言い出します。
父親とキャッチボールがしたかったアキはタイヨウと遊ぶのを渋りながらも、少しの間雪合戦をしています。そして雪を触って手が霜焼けになったタイヨウに向かってアキは
キャッチボールなら手冷たくならないだろ
家からグローブ取って来い
と言って、タイヨウとキャッチボールの約束をしました。
そしてタイヨウがグローブを取りに家に戻った瞬間、「銃の悪魔」の銃撃により家がズタズタに崩壊します。
この日、アキはタイヨウも両親も亡くし、結局両親とは感情のすれ違いを起こしたまま一人で育ちました。
デンジとパワーとの生活はアキが見つけた居場所
「銃の魔人」となって街で暴れているアキの心の中ではデンジと「雪合戦」をしており、
こんなに楽しいのは初めてだ
と言っています。まるで少年時代の時間を取り戻すようにデンジに雪を投げまくります。
またこの時、アキが少年時代の本音も吐露しています。
父さんも母さんもタイヨウばっかにかまってさ
オレには全然かまってくれないんだ
やはりあの当時は自分に目を向けてくれなかった両親への不満があったことが分かります。
だけどやっと・・
やっとさあ
なんか
毎日が楽しくなってきたんだ
この言葉はアキの少年時代を差す言葉ではなく、デンジとパワーとの生活のことでしょう。
アキにとってはデンジとパワーのことを本当の家族のように思っており、少年時代にできなかった「家族との対話」を日々の生活の中で楽しんでいたようです。
デンジとパワーとの生活はアキが見つけた「居場所」
だったのかもしれません。
思い返してみればアキは漫画9巻の第72話で岸辺に「銃の悪魔戦からの辞退」を申し出ており、あれは「家族(=デンジ&パワー)を失いたくない」という思いからだと思われます。
チェンソーマンのアキが雪合戦が嫌いな理由
アキは「銃の魔人」になってからデンジとずっと「雪合戦」をしていますが、その最期には「雪合戦が嫌い」と言っています。
ここではアキが雪合戦が嫌いな理由について見ていきましょう。
雪合戦は雪を投げっぱなし
アキは「銃の魔人」になってからは、とにかくひたすらにデンジに向かって雪玉を投げ続けています。
印象的なのが、アキが雪を投げ続けている間はデンジは一言も発することもなく、喋っているのはアキ一人だけです。
この描写は雪合戦の「一方通行」感を強く思わせます。
雪合戦だと自分も相手も冷たくなる
アキは雪合戦をしている最中、「手冷たくなってきた」と言っています。
実はチェンソーマンにおいて「手が冷たくなる」という表現はたびたび出てきており、漫画10巻の第80話でデンジとマキマの会話の中でも出ています。
この時のデンジはアキを殺した喪失感で無気力状態、うつ症状が出ていた状態で、手が冷たくなっていました。
そんなデンジにマキマは
体が冷たいと気持ちまで落ち込んじゃう
と言っています。
かつて少年時代のアキも、弟のタイヨウと雪合戦をした後に
キャッチボールなら手 冷たくならないだろ
家からグローブ取って来い
と言っており、マキマ風に言うなら「雪合戦は手が冷たくなる=気持ちが落ち込む」ということを示唆しています。
そういった理由からもアキは「雪合戦が嫌い」だったのでしょう。
雪合戦は「一方通行のコミュニケーション」を暗示?
アキが「雪合戦」を嫌う最大の理由は「一方通行だから」だと思われます。
アキは少年時代に両親に構ってもらえず、弟のタイヨウばかりに構うことに不満を持っていました。
先述のとおりアキが「キャッチボールがしたい」と主張しても両親には届かず、一方通行の呼びかけにしかなっていません。
「雪合戦」も雪玉を作って相手にぶつけるという一方通行の遊びで、アキが「雪合戦」を嫌っていたのは少年時代に経験した「一方通行のコミュニケーション」を想起させるからだと考えられます。
チェンソーマンのアキが雪合戦ではなくキャッチボールをしたかった理由
次にアキがキャッチボールをしたかった理由について考察します。
「銃の魔人」となったアキは最期の瞬間、死んだ弟・タイヨウの姿を見て、思い出したように
そうだった・・
オレ・・
キャッチボールがしたいんだった
と言っていました。
何故アキは雪合戦ではなくキャッチボールをしたかったのでしょう。
キャッチボールは一つのボールを投げる&受け取る
キャッチボールが雪合戦と違うところは
・お互いにボールを投げる&受ける
・相手にぶつけるのではなく取りやすいように投げる
・手が冷たくならない
などです。
相手にひたすら雪玉をぶつける雪合戦とは違い、キャッチボールは勝った負けたの遊びではありません。
相手のことを考えてボールを投げて捕って、を繰り返す遊びで、アキは少年時代にも父親にキャッチボールをしてほしいとねだっていました。
キャッチボールは「双方向のコミュニケーション」を暗示
キャッチボールはよくコミュニケーションの例えに用いられます。
キャッチボールは一人でできる遊びではなく、なおかつ相手のことを考えて投げなければ成立しません。
先述のとおりアキは少年時代に両親に対し、感情の一方通行感を感じていました。
アキがキャッチボールをしたかった大きな理由は、一方通行ではなく「双方向のコミュニケーション」をとりたいという気持ちの表れだと思います。
弟・タイヨウと雪合戦後に「キャッチボール」をする約束をしていた
またアキは少年時代、弟のタイヨウとキャッチボールをする約束をしていました。
はじめはアキもタイヨウをウザがって雪玉をぶつけていましたが、タイヨウの手が冷たくなったのを見かねて「家からグローブ取って来い」と言っています。
グローブを取りに行ったタイヨウの後ろ姿を見ていたアキが微笑んでいることからも、アキも別にタイヨウが嫌いなわけではなく、兄弟で遊びたいと思っていました。
弟・タイヨウとのキャッチボールの約束は「銃の悪魔」の襲来によって果たせませんでしたが、「銃の魔人」となったアキが最期にタイヨウと再会し、ここでアキはキャッチボールのことを思い出しました。
アキがキャッチボールをしたかった理由の一つに、弟・タイヨウとの約束を果たせず終いだったから、というのもあったのでしょう。
チェンソーマンのアキが最後に「雪合戦」の攻撃をやめた理由
アキが「銃の魔人」となってデンジと「雪合戦」をしている最中、アキは突然攻撃をやめました。
それは目の前のデンジが泣いていたからで、ここで初めて現実世界のデンジの言葉が伝わったのでしょう。
この時アキは「オマエが泣いてるトコさ・・初めてみたよ」と言っており、アキはデンジの思いを知ったと同時に、デンジに一方的に雪玉をぶつけてきたことに気付きました。
そしてアキは雪合戦で敗北宣言をし、デンジに負けを認めます。これは現実世界において、アキが虐殺を止めたことを意味しています。
デンジが目の前からいなくなった=アキが死んだ
ふとアキが起き上がるとそこにデンジはいませんでした。
代わりに遠くから死んだ弟のタイヨウがアキに声をかけています。この瞬間、現実世界ではデンジのチェンソーがアキの体を貫通しており、アキが死んだ弟と再会したことにかかっています。
あまりにも救われない最期でしたが、アキは最後の最後、弟のタイヨウと再会し、ずっとやりたかったキャッチボールをようやくできたことが唯一の救いですね。
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「チェンソーマンの雪合戦&キャッチボールの意味とは?」まとめ
今回はチェンソーマンの早川アキが死の間際にキャッチボールをやりたがっていた理由や雪合戦が嫌いな理由、アキの行動の意味などについて解説しました。
デンジとアキの戦いの描写は、雪合戦やキャッチボールのシーンにそれぞれのキャラの思いが込められた作中屈指の名シーンでした。
作品の既定路線だったとは言え、デンジとパワーの兄のような存在だったアキの死はあまりに物哀しいものでしたね。
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